Dr.T's room

相談員を生業とし音楽家を生き甲斐とする2児の父の話

交差する風景

僕は相談員をしている。

 

今は地域で社会福祉法人に所属している相談員だが、前職は病院に所属している相談員だった。

 

今の職場で8年、前職で5年(8年勤めたが最初の3年は他部署だった)やっているので、計13年相談員をしている。

 

13年もやっていると、結構な数の人と出会う。

 

以前晩酌中に『記憶だけ辿って病院時代のクライアント何人思い出せるか選手権』を1人で勝手に開催したのだが、2時間くらいかけて、108人の顔と名前とエピソードを思い出せた。

 

僕は病的に記憶力が良いが、大体こんなことに使っているので、大して役には立っていない。

 

 

今の職場に来てからのことは数えていないが、前の職場よりももう既に長くいるので、単純に倍にすると、200人くらいの人と出会ってきた計算になる。

 

以前にも書いたが、この仕事はただ話を聞くだけではない。

なぜ今の困りごとを抱くに至ったか、この先どう生きていきたいか、そこが(もしかしたら今この時の困りごとよりも)重要になってくる仕事だ。

 

人生に触れるという表現が、僕は1番しっくり来る。

 

そして僕は、200人の人生に触れた。

これは結構な事だと思う。

 

僕個人はそこまで突飛な人生は歩んでいない。

 

親の愛はたしかにあり友人もそれなりにいるもものの、肥満児であることに人並みの劣等感を抱き

 

高校生でバンドに出会い夢中になり、それが終わると社会に出ることを人並みに恐れ

 

出てみると割と上手くやれたことに拍子抜けし、資格を取ってしばらく働いたのち転職

 

結婚して子供を授かり、下の子もそれなりに落ち着いた今、満を辞して音楽を再開

 

大体、この四文で収まる人生だ。

(この四文を膨らましに膨らませて一曲書いたけど)

 

しかし僕は生業が幸いし、これに×200人分の人生に触れている。

 

彼らの歩んできた道全てを追体験したとは恐れ多くも言えないが、それでもこっちも相談を聞く時はまぁまぁの熱量で聞いているから、彼らの未来が開けた時は自分のことのように嬉しい。

 

前にも書いたが、贅沢な仕事だ。

人1人の人生は、その一部分だけでも映画一本より余裕で面白い。

少なくとも僕にとっては。

 

そしてその仕事は、僕の他の側面(音楽家とお父さん)と見事に交差する。

 

彼らに学んだことは少なからず子育てに生きるし、心の機微は曲や詞になる。

 

まぁ全てが上手く回ってるわけでは当然無く、胃が痛くなる瞬間も、どん詰まってんなと思う瞬間もアホほどある。

 

それでも、やるべき事を端から果たし、思考して判断を繰り返す。

それしかやることは無いから、それだけをする。

 

書いたことは無いけど、消化しきれないくらいの負の感情が湧いたら、それこそラップにでもして茶を濁そうと思う。

 

逃避ととるか昇華ととるかは、僕の独断で良いはずだ。

 

いいぞDr.T、脂が乗っているぞ。

 

 

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『笑え、無理をしてでも』

未来は俺らの手の中/THA BLUE HERB